平成24年度 林野庁
木質バイオマスの効率的利用を図るための技術支援
はじめに
森林・林業再生プランに掲げる「木材自給率50%以上」という目標を達成し、木材の利用拡大による森林の適切な整備や地球温暖化防止への貢献を実現するためには、木材産業の活性化とともに、「公共建築物等木材利用促進法」の着実な推進により住宅のみに依存しない需要構造の構築や、木質バイオマスを含めた地域材利用を促進するための実需の拡大を図る必要があります。このため、本事業では木質バイオマスの利用拡大の取組みを行います。
また、東日本大震災を契機に、再生可能エネルギー拡大の必要性が改めて認識されるようになりました。欧州では再生可能エネルギー利用の5割近くを木質バイオマスが占めており、再生可能エネルギーで最大のシェアを誇っています。欧州よりも森林率が高く、蓄積も多い我が国において、木質バイオマスエネルギーの潜在的な可能性は、欧州以上といえます。
しかし、我が国においては再生可能エネルギー利用の歴史は浅く、バイオマスに関しても現場レベルでの利用の試みは増えてきてはいるものの、試行錯誤が続いているのが実態です。
今後の木質バイオマス利用拡大に向けては、供給体制整備と並行して、需要サイドの体制整備が不可欠です。このため、バイオマス利用の原則を整理・体系化して、理論・技術の共有化を図るとともに、それに基づいたモデル事例を広げていくことが、今最も求められています。
技術支援選定事業体に実施した「技術支援の取り組み」
選定事業体への技術支援の取り組みは以下からダウンロードできます
「実務テキスト」・「事例集」
平成24年度林野庁補助事業「木質バイオマスの効率的利用を図るための技術支援」では、これから木質バイオマスボイラーを導入しようとする方へ向けた「実務テキスト」と、木質バイオマスの取り組みの拡大につなげることを目的に「事例集」を作成しました。
「実務テキスト」「事例集」は以下からダウンロードできます。
●木質バイオマスボイラー導入・運用にかかわる実務テキスト
●木質バイオマスエネルギー利用事例集
この実務テキストは、国内の木質バイオマス利用の現状と課題を整理し、20年以上のバイオマス利用の歴史のある欧州の理論・技術を参考に、日本でこれから木質バイオマスボイラーを導入・運営する場合の理論や技術を体系的に整理したものです。
また、事例集は国内外の調査結果から課題整理やコスト分析を取りまとめた事例とともに、木質バイオマスを用いた国内発電施設の取り組みも紹介しています。
本事業での訪問調査やアンケート調査、テキスト作成に際し、すでにボイラーを導入している事業体の皆様をはじめ、多くの皆様にご協力をいただきましたこと、この場をお借りしてお礼申し上げます。
実務テキストや事例集が、これからの木質バイオマスボイラーの本格普及のための大きな一歩となれば幸いです。